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オール電化・蓄電池の需要はこれからどうなる?営業職の仕事量への影響を考える

こんにちは。
キャリア系ライターの柏木亮太と申します。

新卒から9年間、住宅設備メーカーで営業をやっていました。
その後は人材紹介会社で7年、営業職や施工管理職の転職支援を担当。
いまは独立して、転職相談を受けながらこうして記事を書いています。

最近、相談の場でよく聞かれる質問があります。
「太陽光とか蓄電池の営業って、この先も仕事ありますか?」というものです。

結論から言うと、需要そのものは増える方向だと私は見ています。
ただし「売り方」は確実に変わるので、誰にとっても安泰というわけではありません。

この記事では、オール電化・蓄電池の需要を左右する材料をひとつずつ整理したうえで、営業職の仕事量がどう変わっていくかを考えます。
いまこの業界で働いている方、これから転職先の候補として考えている方の判断材料になれば嬉しいです。

オール電化・蓄電池の需要はいま、どうなっているのか

電気代の高止まりが「自家消費」を後押ししている

ここ数年、家庭の電気料金は高い水準が続いています。
燃料価格の変動に加えて、電気料金に上乗せされる再エネ賦課金の単価も上がり続けており、電気代は「待っていれば下がる」ものではなくなりました。

この状況が、太陽光発電と蓄電池の需要を押し上げています。
理屈はシンプルで、電気を買う量を減らせば、値上げの影響を受けにくくなるからです。

昼に太陽光で発電し、余った分を蓄電池に貯めて夜に使う。
いわゆる自家消費型の使い方です。

私が住宅設備の営業をしていた10年以上前、太陽光は「売電でもうける」商材でした。
いまは完全に「自分で使って電気代を減らす」商材に変わっています。
この業界を見るうえで、ここが一番大きな変化だと思います。

売電価格の制度も「自家消費前提」に変わった

国の固定価格買取制度(FIT)の住宅用売電価格は、年々見直しが続いています。
最近の住宅用は、設置後の数年間だけ高めの単価で買い取り、その後は低い単価に切り替わる二段階の仕組みになりました。

つまり制度の設計そのものが、「早めに設置費用を回収して、あとは自家消費してください」という方向を向いています。
制度の詳細は、資源エネルギー庁のなっとく!再生可能エネルギーで確認できます。

売電の旨味が減った分、発電した電気を貯めて使うための蓄電池の存在感が増している。
そういう構図です。

オール電化は「置き換え需要」が堅い

オール電化の中心であるエコキュートやIHクッキングヒーターには、太陽光や蓄電池とは別の強みがあります。
すでに設置済みの機器の買い替え、つまり置き換え需要が毎年必ず発生することです。

給湯器の寿命はおおむね10年から15年ほど。
オール電化住宅が一気に増えた時期に設置された機器が、順番に更新時期を迎えています。

新規で「オール電化にしませんか」と口説く営業だけでなく、「そろそろ替えどきですよ」という提案が成り立つ。
営業の立場から見ると、これはかなり大きな安定要素です。
太陽光のように市況や制度に左右されにくい、底堅い需要だからです。

需要を後押しする材料は複数ある

卒FIT世帯が毎年積み上がっている

FITの買取期間(住宅用は10年)を終えた、いわゆる「卒FIT」の住宅は2019年から発生し始めました。
以降、毎年新たな卒FIT世帯が生まれ続けており、累計では100万件を大きく超える規模になっています。

卒FITを迎えると、売電単価は大きく下がります。
すると「安く売るくらいなら、貯めて自分で使ったほうがいい」となり、蓄電池を後付けする動機が生まれるわけです。

営業の視点で言えば、これは毎年自動的に増え続ける見込み客リストです。
すでに太陽光を載せている家への提案なので、ゼロから設備の価値を説明する必要もありません。

2026年も国の補助金が続いている

省エネ設備への国の支援も続いています。
2026年は、国土交通省・経済産業省・環境省の3省連携による「住宅省エネ2026キャンペーン」が実施されており、エコキュートなどの高効率給湯器の導入や窓の断熱改修などが補助の対象です。

補助金があると、お客さんの背中を押しやすくなります。
「検討はしてるけど、初期費用がね」と迷っていた層が動くからです。
現場では、補助金の申請期限が商談の締め切りとして機能する場面もよくあります。

制度の対象や条件は年度ごとに変わるので、正確な情報は住宅省エネ2026キャンペーンの公式サイトで確認してください。

新築への太陽光設置を義務化する動きも出てきた

東京都では2025年4月から、大手住宅メーカーが供給する新築住宅を対象に、太陽光パネルの設置を義務付ける制度が始まりました。
制度の内容は東京都環境局の太陽光ポータルにまとまっています。

義務を負うのは事業者であって、個々の施主ではありません。
それでも「新築には太陽光が載っているのが当たり前」という空気が広がれば、既築住宅への後付け提案もしやすくなります。

ここまでの材料を表に整理します。

要因内容営業への影響
電気代の高止まり再エネ賦課金の上昇も含め家計の負担が増加自家消費提案の追い風になる
売電価格の見直し初期は高め・以降は低めの二段階に蓄電池とのセット提案が標準になる
卒FIT世帯の増加累計100万件超の規模で毎年積み上がる後付け蓄電池の見込み客が増える
国の補助金住宅省エネ2026キャンペーンなどが継続迷っている客層の後押し材料になる
設置義務化東京都で2025年4月から開始太陽光の「当たり前化」が進む
機器の置き換えエコキュート等が順次更新時期に市況に左右されない底堅い案件源

蓄電池の役割は「家の節約」から広がりつつある

もうひとつ、少し先の話も添えておきます。
家庭用蓄電池を、電力網全体の調整役として活用する動きが進んでいることです。

各家庭に散らばった蓄電池をまとめて制御し、電力が足りない時間帯に放電してもらう。
仮想発電所(VPP)やディマンドレスポンスと呼ばれる仕組みで、国も制度整備を進めています。

こうなると、蓄電池は「電気代を減らす箱」から「持っているだけで価値を生む設備」に近づきます。
お客さんに提案できるメリットがひとつ増えるわけで、営業のトークの幅も広がるはずです。

正直、この分野はまだ発展途上で、家庭向けにどこまで浸透するかは私も読み切れていません。
それでも、蓄電池の価値が下がる方向の話ではない点は押さえておいていいと思います。

では、営業職の仕事量はどう変わるのか

引き合いと案件の「数」は増える方向

前の章の材料を見る限り、案件の数自体は増える方向だと考えています。
電気代は下げ止まらず、卒FIT世帯は毎年増え、補助金も続き、置き換え需要は常にある。
お客さん側に、検討する理由が揃っているからです。

転職支援をしていた頃の肌感覚でも、省エネ設備や電気工事まわりの求人は途切れませんでした。
業界全体が人手不足ということもあり、営業と施工の両方で採用意欲の高い分野です。

ただし「売り方」は確実に変わる

一方で、仕事の中身は変わります。
昔ながらの「訪問して、その場の勢いで契約」という売り方が、年々通用しなくなっているからです。

理由は大きく2つあります。

  • お客さんがネットで相場や補助金を調べてから商談に臨むようになった
  • 強引な訪問販売への警戒感が強まり、行政のチェックも厳しくなった

これからの主戦場は、電気代の明細を見ながら削減効果を試算し、補助金の活用まで含めて提案する「コンサル型」の営業です。
実際、電気代シミュレーションや補助金の申請サポートまでが営業の仕事に含まれる会社が増えています。

正直、勢いだけで売ってきた人にはしんどい変化だと思います。
逆に、数字で説明するのが得意な人には追い風です。

太陽光発電協会(JPEA)のような業界団体が資格制度や統計の整備を進めているのも、業界全体が「きちんと説明して売る」方向へ動いている表れだと受け取っています。

きつさが消えるわけではない

良い話ばかりではフェアじゃないので、きつい面も書いておきます。

  • 単価の高い商材なので、成約までの検討期間が長い
  • 商談が土日に入りやすく、休みが平日になりがち
  • 歩合の比重が大きい会社では、収入が成果に左右される

このあたりは住宅設備営業の宿命のようなもので、私が現役だった頃から変わっていません。
ただ、単価が高い分、売れる人にとっては収入面のリターンが大きい仕事でもあります。
向き不向きがはっきり分かれる職種です。

この業界で働くなら、会社選びで何を見るか

需要が増える業界でも、どの会社で働くかで働き方は大きく変わります。
転職支援をしていた経験から、求人を見るときのチェックポイントを挙げておきます。

  • 商材が太陽光単品か、蓄電池・エコキュート・リフォームまで幅があるか
  • 販売だけでなく、施工や保守まで自社で手がけているか
  • 拠点がどこにあり、転勤や出張の範囲はどの程度か
  • 資格取得の支援や教育体制が整っているか

なかでも商材の幅は重要です。
単品売りの会社は市況の波をもろに受けますが、省エネ・創エネ・蓄エネをまとめて提案できる会社は、お客さんの状況に合わせて売るものを変えられます。

未経験からでも入れる業界なのか

転職相談でよく聞かれるので、ここにも触れておきます。
結論、営業職に関しては未経験からの入り口が比較的広い業界です。

人材紹介の現場にいた頃、省エネ設備系の営業求人は「業界経験不問・営業経験優遇」という条件が目立ちました。
商材知識は入社後の研修で身につく前提で、それよりも対人折衝の経験や、数字を追った経験が評価されやすい。
異業種の営業からの転職が多いのは、そのためです。

ただし、未経験で入るなら教育体制の確認は必須です。
商材が専門的なぶん、教えてもらえる環境かどうかで最初の1年の苦労がまったく違います。
面接では、研修期間の長さと、独り立ちまでの流れを具体的に聞いてみてください。

一例:省・創・蓄をまとめて手がけるエスコシステムズ

具体例として、株式会社エスコシステムズという会社を紹介します。
2011年創業で、エコキュートやIHといった省エネ設備、太陽光発電、蓄電池までをまとめて提案し、電気工事の設計・施工・保守も自社で手がける会社です。

従業員は89名(2025年9月時点)。
東京の本社に加えて東北や関西などにも拠点があり、公式サイトによると省エネ設備の導入実績は11,000件以上とのことです。

この記事で書いてきた「省・創・蓄をワンストップで提案する」タイプの営業を、まさに仕事にしている会社です。
中途の営業職を募集しているので、この業界の求人がどんなものか見てみたい方は、エスコシステムズの採用情報ページを覗いてみてください。
会社の数字や募集条件がひととおり載っているので、求人票の読み方の練習台としてもちょうどいいと思います。

まとめ

オール電化・蓄電池の需要を左右する材料を並べると、電気代の高止まり、卒FITの積み上がり、補助金の継続、設置義務化の広がり、そして機器の置き換え需要と、追い風が目立ちます。
営業職の仕事量という意味では、案件は増える方向だと私は見ています。

ただし、売り方は「勢いの訪販」から「数字で説明するコンサル型」へ確実に移っています。
仕事がなくなるのではなく、求められるスキルが変わる。
そう捉えるのが正確だと思います。

16年この業界の周辺で働いてきた実感を言うと、電気とお湯のない生活は想像できない以上、この分野の営業が食いっぱぐれる未来も想像しにくいです。
あとは、変化に合わせて自分の売り方を更新できるかどうか。
そこだけだと思います。